「グランドスタッフ(GS)」は空港にてチェックイン・受託手荷物・ラウンジ・ゲートなどでの旅客対応全般や、搭載貨物のウェイト&バランス管理など、空港内において多様な業務を行う「空港のプロフェッショナル」達です。
私は客室乗務員として仕事をしていますが、GSの皆様にはいつも本当にお世話になっております。いつも飛行機の定時・安全運航にご尽力くださり本当にありがとうございます。GSのOB/OGの皆様、これまで私の大好きな空を支えてくださり本当にありがとうございました。
皆様には毎日毎便、本当に感謝しております。
皆様がいなければ、私は自分の仕事は成り立たないと思っております。
今回は私が体験したエピソードを通じて、GSの皆様がいかに素晴らしく価値ある仕事をしておられるかを書きたいと思います。
Contents
空港のプロ
チェックインや手荷物の受託など、お客様が空港に着いてから飛行機に搭乗するまで、いろいろとやる事があります。普段あまり飛行機に乗りなれないお客様は戸惑う事も多いでしょう。GSさんはそんなお客様に寄り添い、支援してくださっています。
時に笑顔でお客様を接遇し、時に毅然とした態度で空港や航空機の保安を守り、時に配慮が必要なお客様にゆっくりと寄り添い、時に空港を駆けながら、安全・定時運航を支えてくださっている重要な存在。それが「空港のプロ」であるGSさんです。
エアラインの”顔”
空港に来たお客様が始めて出会うエアラインのスタッフ、それがGSさんです。
CAよりも先にお客様と接しているGSさんからの情報は、安全で快適なフライトを実現する上で非常に重要です。
配慮や警戒が必要な旅客の情報、お客様からのご意見、空港内の状況など、GSさんから頂く最新で確実性の高い良質な情報を元に、CAが機内でのマネジメントやアナウンスなどを工夫することによって、より安全で快適なフライトを実現することができるのです。
お客様の忘れ物
国際線にて旅客搭乗中、お客様がターミナルビルにスマートフォンの忘れ物をされたとの申告がありました。これから海外へ行くのにスマホが無いのは相当な痛手だと思います。
報告を受け、私はすぐにGSさんに報告しました。GSさんは直ちに無線機で情報を共有し、捜索してくださいました。そして十数分後のDoor Close前、忘れ物を発見したGSさんが届けてくださいました。お客様は本当に嬉しそうにお礼を仰っていました。
私たちが頂いた笑顔と感謝の言葉は、がんばって探してくださったGSの皆様へ贈られたものだと思っています。
マスク
2020年のコロナウイルス感染拡大を防ぐため、弊社を含めた日系航空各社は、お客様にマスクの着用をお願いするようになりました。ここ最近は、ご搭乗されるほぼすべてのお客様がマスクを着用してくださっています。
これもカウンターやゲートでGSさんが事前に対応してくださっているおかげだと私は思っています。さぞ、私達が存じ上げないような御苦労があるのだろうと思っております。
GSさんや飛行機の空調システムのおかげで現在でも航空機の中は「感染リスクが低い環境」として認知され、弊社でも機内での明確なコロナ感染例はありません。お客様やクルーや会社を守ってくださり、本当にありがとうございます。
VS悪天候
強風・雷雨・豪雪など、悪天候に見舞われると空港は一気に忙しくなります。
飛行機の欠航、出発遅延、到着遅延、GTB(離陸前引き返し)やATB(離陸後引き返し)、ダイバートによるイレギュラー運航機の到着…。GSさんはそれらに対応しなければなりません。
今後の運航予定のご案内、ゲート変更のご案内、旅客バスの手配、振替便のご案内、払い戻しのご案内、そしてクレーム対応などなど…お客様対応だけでも本当に大変なものです。忙しい時は食事の時間すらなく、深夜までの残業などもあると思います。
でもイレギュラーが発生してどうしたらよいかわからないお客様にとって、GSさんが頼りです。悪天候時には、最前面に立って対応してくださる空港のプロがGSさんなのです。
定時性への熱意
国際線でのフライトの時、前便でゴー・アラウンドなどがあり1時間以上の大幅遅延となっていました。次便の国際線での目的地空港には「カーヒュー(離着陸制限時間)」があり、このままではカーヒューに間に合わず欠航の危機が迫っていました。
私達は大急ぎで機内清掃などの次便の出発準備を進めていました。そこでGSの皆様が駆けつけてくださり、機内清掃を手伝ってくださいました。おかげで私たちは次便出発準備に専念でき、機はなんとか出発し、目的地に到着できました。
たとえGSさん達とは関係のない理由であっても、欠航してしまった場合、お客様の矢面に立つのはGSさんです。それを回避したいという思いはもちろんお在りだったと思いますが、私はそれとは別に「担当した飛行機を無事に出発させる」というGSとしての意地やプロ意識も感じておりました。
この便に搭乗されたお客様が観光に行けたのは、仕事に行けたのは、家に帰れたのは、GSさんの皆様のおかげでもあります。
Door Open
長かったフライトを無事に終えてゲートに到着し、〇時間ぶりにドアを開けた時に、GSさんがいてくださるとホッします。海外から帰ってきてハブ空港で自社のGSさんに再会すると、本当に頼もしく感じます。
汗ダクになるような酷暑の日も、震えが止まらない厳寒の日も、機側で飛行機とお客様を待っていてくださり、本当にありがとうございます。
時には…
CAとGSは不仲だ。
そう感じている方もいます。きっと航空各社によって部署同士の関係性も様々でしょう。
部署も1人1人の人間によって成り立っており、人は本当に多種多様です。GSもCAも1人の人間です。場合によってはぶつかりあってしまうこともあると思います。私も時折、CAとGSでバトルが起きてしまった話を聞き、悲しくなります。
共にフロントラインで運航を支える立場でありながら、たった1件のトラブルが噂の拡散や否定的な拡大解釈によって、部署同士の確執となってしまうのはとても寂しいです。
私は、GSとCAの協力関係があってこそ高い安全性が実現すると思っています。GSさんの重要性に気付いていないCAは私の価値観においては3流です。
GSさんは安全運航に不可欠な存在です。私はこれからもリスペクトし続けます。GSさんがいるから、飛行機は安全な状態で出発できるのです。
定時出発の価値
飛行機が定刻に出発する。
これだけで物凄く価値があります。
飛行機にはたくさんお客様がご搭乗されます。そしてお客様1人1人に「その日のフライトの目的」があります。
一世一代の商談に臨むお客様。家族の結婚式にご参加されるお客様。何年も旅費をためて念願の家族旅行。大切な恋人に会いに行く。危篤に陥った家族のもとへ急ぐ方。大事な会議への参加。友達と一緒にちょいとお気軽なプチ旅行。航空マイル修行…。
定刻に出発し、定刻に着く。これだけで何十・何百人というお客様が「その日のフライトの目的」を達成でき、お客様の人生への貢献になります。
定時出発のためにお客様を効率的にハンドリングしたり、チェックインをしているにも関わらずゲートに来られないお客様を探して空港内を走ったり、いつも頑張っておられるGSさんの尽力は、お客様に多大な貢献を果たしているのです。
さいごに
航空機の運用というのは、究極のチームワークです。
運航に関わるさまざまなフィールドで活躍するプロの方々が互いに協力しあいながら、日々の安全運航を支えています。
CAの仕事で共に働くことが多いGSさん。GSさんとの良好な関係性と高度な連携は、安全な運航を実現する上で非常に重要な要素です。これから航空会社のフロントラインで働く者同士、共にがんばっていきたいです。
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