最近コロナウイルスによる在宅勤務により、自宅で「エコノミークラス症候群」を発症する人が増えているそうです。
なぜ飛行機の機内と違って、自由に動ける自宅でこの病気が発症してしまうのでしょう?
航空関係者からすると「エコノミークラス症候群」という言葉はあまり気持ちよくはありませんが、今一度この病気について学びなおしてみたいと思います。
Contents
エコノミークラス症候群とは?
エコノミークラス症候群とは、長時間同じ姿勢で座っていることで足の血管内に血栓(血のかたまり)が生じ、立ち上がった際に血栓が血管を移動し、肺の動脈を詰まらせてしまう病気です。
静脈に血栓ができてしまうのを「深部静脈血栓症」、血栓が肺の血管に詰まってしまうのを「肺血栓塞栓症」といいます。

飛行機のエコノミークラスに限らず、日常生活でも2時間同じ姿勢で座っていると、足の血流が悪くなり血栓ができやすくなる状態になります。
名前から誤解されがちですが「長時間、同じ姿勢で座っている状態」が続くと、どこでも起こりえる病気であると知っておくことが重要です。
なんで機内で発症しやすいの?
1977年に「フライト後にこの病気を発症する方の多くがエコノミークラスに搭乗している」という学説が出されました。なぜエコノミークラスで発症しやすいのかを考えてみましょう。
水分が低下しやすい
飛行機の機内は、体内の水分を失いやすい環境になっています。
乾燥している
飛行機の機内の湿度は10~20%ほどに保たれています。
機内の湿度が高いと、結露による電気系統の故障や、錆による機体の強度劣化など安全性に問題が生じるため「ウォーター・エクストラクター」という水分除去装置によって湿度があえて低く設定されています。
そのため機内は非常に乾燥しており、体内の水分が蒸発していきます。
気圧が低い
飛行機の機内は標高2000m程度(富士山の五合目くらい)の気圧が保たれています。地上に比べて酸素が薄いので、脳は呼吸数を増やすことで酸素を確保しようとします。呼吸数が増えることで、体内の水分が蒸発していきます。
お酒が飲める
レジャーで飛行機を利用するときは機内で一杯呑みたくなるものです(^^) しかし機内でお酒を飲みすぎると利尿作用によってオシッコが近くなり、体内の水分が失われていきます。
このような環境によって体内の水分が失われて血液がドロドロになってしまい、血栓が出来やすくなってしまいます。
動きづらい
エコノミークラスの座席配列にもよりますが、窓側席や中央席だと思うように動きづらい事があります。隣の人を気にして、トイレに行けないという方もいるでしょう。
長時間同じ姿勢でいることで血流が悪くなり、血栓が出来やすくなってしまいます。
症状
血栓が肺の静脈を詰まらせてしまうことで、呼吸困難、胸の痛み、息切れ、動悸、冷や汗などの症状が出ます。
動脈が詰まってしまうことで血圧が低下して失神やショックを引き起こし最悪の場合は死に至ることもある病気です。
血栓の移動のしかたによっては、フライト後1~2週間後に発症するケースもあります。フライト後に自覚症状があったら、すぐに近くの地上係員や医療機関に伝えましょう!
対処法
適度な運動
エコノミークラスであれば、「適度にトイレに席を立つ」「足のマッサージをする」などをするだけでも効果的です。こちらのHPに座った状態でも出来るストレッチが乗っています。
在宅勤務中でも適度に席を立ち、ストレッチなどの運動をしましょう。
適度な水分補給
しっかり水分をとりましょう。お酒のような利尿作用のある飲み物は逆効果ですので注意しましょう。また、意外と「お茶」にも利尿作用が高いものがあるので、こちらも注意しましょう。
ゆったりした衣服を着る
締め付けのキツい衣服は、血流がとどこおり血栓ができやすくなる可能性があります。長時間座る状態が続くときは、ゆったりめの服を着るよう意識してみましょう。
まとめ
エコノミークラス症候群は機内だけでなく、どこでも起こりえる病気です。
実際に、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震の際、被災地で車の中で避難生活を送っていた方々が、長時間車内で座っていたことでこの病気を発症しています。
対処法を知っていれば防げる病気ですので、飛行機に乗る機会が多い方や在宅勤務が続いている方は、ぜひ今一度意識してみてください!
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