離陸して飛行機が安定すると、シートベルト着用サインが消えます。
ベルトサイン消灯中は、お客様はベルトを外して座席を立つことができます。これは航空関係者によって「常識」です。
しかしお客様からは、たまにこんな質問を頂きます。
「今って、トイレ使えるんですか?」
「今って、荷物入れからバッグ出していいんですか?」
「今って、ベルト外していいんですか?」
客室乗務員とお客様とは、「あたりまえ」の基準にギャップがあります。
CAは、毎月80時間近く空を飛び、フライトでの様々な経験を持ち、飛行機や安全性についての知識も豊富に持っています。そんなCAと飛行機に乗りなれないお客様とは「価値観のギャップ」があるのです。
例えば「シートベルトに対しての価値観」です。
CAは飛行機の安全性を深く知っているので、「シートベルトを着用すること」に大きな価値を感じています。
一方、普段から揺れの少ない安全なフライトしか体験されていないお客様は「シートベルトを着用すること」に、それほど価値を感じていないかもしれません。
ここに「違い」が生じます。
CAの中には、ここでお客様を「間違っている」と捉える人もいます。
でも「間違い」ではないのです。単なる「違い」なのです。
「お客様の視点に立つ」とは、「お客様の価値観の理解に努める」ということです。
そして、いかにお客様を不快にさせずにこのギャップを埋めることができるか。いかに快適性を損なわずに安全性を高めることができるか。その技術に、CAの技量が表れるのです。
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