客室乗務員が「空席への座席移動を断る」その理由とは?


飛行機の機内で座席移動を断られたこと、ありませんか?

FCSであればチェックインの前に座席指定をする必要があるので、こちらが意図していない座席になることはありません。

しかしLCCの場合、座席指定は有料であり、指定するか否かも旅客の任意です。座席指定を行わなかった場合、チェックイン時に自動的に座席が指定されます。

その結果、自分が望んでいた座席ではなかったり、一緒に搭乗した家族や友人と席が離れてしまうといった事にもなります。

そんな時は座席を移動して、家族や友人と共に過ごしたくなる気持ちもわかります。そこでCAに相談したところ「移動はできません」。不思議や不満を感じることも多いと思います。

しかし、どうして座席移動がNGなのでしょう?

理由① 飛行機の原理

飛行機ってどうやって飛んでいるかご存知ですか?

飛行機は主翼に発生する「揚力」という力で飛んでいます。 スピードを調整したり、主翼に装備されているエルロンやフラップなどの装置を使ったりしながら主翼上の揚力をコントロールすることで、上昇・降下・旋回などを行っています。

飛行機は翼に発生する揚力で飛んでいます。この飛行機のバランスを例えるならば「十字懸垂をする体操選手」です。

旅客の座席移動というのは、この体操選手の背中を数十kgの物体が移動することです。

移動についても、お客様の都合によって頭の上で済む移動もあれば、頭から足まで移動が必要な場合もあり、移動の内容によって飛行機の重量バランスへの影響は変わります。

「人が1人移動したところで、あの巨大なマシンに影響なんかでない」という意見もあるでしょう。

しかし、かつてJALやANAで運航されていた全長26mのプロペラ機YS-11型機の機長は「操縦桿の感覚で、機内で人が移動したことがわかった」と言っています。

全長70mの大型旅客機ボーイング747-400型機であっても、その重心位置の幅は約1.75mで非常ドア1個分ほどしかありません。飛行機は繊細な重心調整によって、安定性を確保しているのです。

このように座席移動は安全性に影響する要素であるため航空会社は安全上の規則を設けており、その規定に抵触してしまう場合は座席移動が断られてしまうことがあるのです。

理由② 飛行機の貨物

さらに、もう1つ大きな要因があります。

それは貨物事業を行っていない航空会社の飛行機は、貨物を積んでいないということです。

皆さん、空港でこんな光景を見たことはありませんか?

これは「ULD / Unit Load Device」という貨物が入ったコンテナを、飛行機の貨物室に搭載しているシーンです。JALやANAのようなエアラインは旅客の輸送だけでなく、貨物の輸送も受け持っています。

そういった飛行機は「旅客」と「貨物」の両方を使って、飛行機の重量バランスを調整しています。

一方、貨物事業を行っていない航空会社は「貨物」を積んでいませんので、「旅客」の要素がより強く重量バランスに影響してしまうのです。

そのため、貨物を搭載している飛行機よりも、よりシビアな制限が設けられていることがあるのです。

・大きな座席移動は、飛行機の重心バランスに影響する。
・貨物を積んでいない飛行機は、旅客の座席移動による影響が大きい。

これが座席移動を断られる理由の1つです。

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