CRM研究③「チームビルディング」


宇宙航空研究開発機構のJAXAがJALやANAと共に開発した「Crew Resource Management / CRM」は、大きく5つのクラスタに分類され、それぞれが複数のスキルで構成されています。

 

今回は5つのクラスタの1つである「チームビルディング」を学んでみたいと思います。チームビルディング・クラスタに分類されるスキルは下記の3つです。

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・業務の主体的実行
・チーム活動に適した雰囲気・環境つくり
・意見の相違の解決

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それぞれを研究してみたいと思います。

業務の主体的実行 / Leader ship

CRMにおけるこのスキルは、英語では「Leader ship」と訳されます。リーダーとは立場であり、リーダーシップとは能力です。リーダーシップとはパイロットや客室責任者のような立場的リーダーだけに求められる能力ではなく、プロのチームであればメンバー全員が備えるべき能力です。

リーダーシップとは「統率力」と訳されることが多いようです。私がリーダーシップを学んだ中で、最も腑に落とせた表現は「リーダーシップとは、メンバーへの肯定的影響力」です。

影響力とは「メンバーを動かす力」です。相手に行動を無理強いしたり、相手を批判したり脅したりして相手を恐れさせることによって強制的に動かす「否定的影響力」ではありません。この影響力を発している人からは、人は離れていきます。そのチームはパフォーマンスが低下してしまうと思います。

周囲のメンバーが「私も動こう」と自発的に動機付けられる「肯定的影響力(リーダーシップ)」をクルー全員が発揮することで、そのチームのパフォーマンスは大きく向上すると思います。

チーム活動に適した雰囲気・環境作り / Climate

個々のチームメンバーがリーダーシップを発揮して自発的に行動を起こせるかどうかは、リーダーがどのような環境を作っているかが大きく影響します。

「余計なことをするな!」
「なんで勝手にこんな事をしたの!」
「誰が責任を取ると思っているんだ!」

このような自身の正しさに固執したリーダーが作る環境では、チームパフォーマンスは低下します。

メンバーが変われば、チームの質も変わります。

リーダーが自分の正しさだけを絶対視し、他者にも自分の正しさを強制し、その正しさとは反する行動をしたチームメンバーを批判し、脅し、罰し、怒鳴り、ガミガミ否定するような関わり方をしていると、チームメンバーは当然ながら、不安や恐れを感じて萎縮します。萎縮したメンバーが良いパフォーマンスを発揮できるはずがありません。

リーダーの役割は、ただシンプル。

チームメンバーから、いかに不安と恐れを取り除くか。

ただ、これだけだと思います。
これが「チーム活動に適した雰囲気・環境作り」を作る上での鉄則だと私は思います。

意見の相違の解決 / Conflict Resolution

これはかなり難しいスキルだと思います。しかし非常に重要なスキルです。

クルーが5人いれば5通りの価値観があります。5通りの正しさがあります。事実は常に1つだけですが、その事実をどう解釈するかは、人それぞれです。5人いたら5通りの解釈があります。

例えば、皆様はこの画像を見て、どう思いますか?

まだ、半分も入っている
もう、半分しか入っていない
冷たそう
熱そう
美味しそう
不味そう
割れそう
綺麗

無数の解釈があります。そして、それぞれの解釈を本人は「正しい」と思っている可能性があります。この解釈の違いが「意見の相違」に繋がります。多くの人は、自分とは異なる解釈を「間違い」だと捉えます。「私は正しい、相手は間違っている」この考え方が、意見の相違の解決を難しくさせる要因です。

「今、本当にやるべきことはなにか?」を常に考え、相手の意見のほうが効果的だと判断したら、相手の意見を即座に取り入れる柔軟性も必要です。

そして、相手の意見を理解したうえで自身の意見を主張したい場合は、相手と「交渉」する技術が必要です。

「自分はこう思う」という自分を主語とした「I massage」によって自身の意見とそれを主張する根拠などを、相手に伝えます。そして「君はどう思う?」と相手の意見も尊重しつつ、交渉をしながら、その場での最善な解決策をチームで力を合わせて作り出します。

「意見の相違の解決」には高度な技術が必要です。上記の「交渉」もその手段の1つです。しかし技術を用いる前に決めるべき「自分の心構え」はシンプルだと思います。

「人はみんな違う」
「違いは違いであって、間違いではない」

この考え方が、チームでの意見の相違の解決において不可欠だと私は思います。

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