航空業界の「Crew Resource Management」から学ぶリーダーに不可欠な技術とは


客室乗務員は、飛行前の初期訓練にて「Crew Resource Management / CRM」という概念を学びます。

CRMとは、航空機運航における最優先・最重要な要素である「安全な運航」を達成するために利用可能な全てのResource(資源)を有効活用する考え方です。

現在では航空会社のような空運業に限らず、医療、海運などの様々な業種の現場で実践されています。

飛行機は「空飛ぶ潜水艦」とも言われ、いざ離陸して空を飛行している間は、単独で海中を潜航する潜水艦と同じように外部から直接支援を受けることが出来ません。

もし飛行中に緊急事態が起きた場合、機内にある限られた資源を最大活用することで乗り切らなければいけません。この場合の「資源」とは、パイロット・客室乗務員・お客様のような「人的資源」から、救命胴衣やサービス物品などのハードウェア、乗務員や地上スタッフや航空管制官から提供される「情報資源」など、様々なものが該当します。

中でも重要なのが「人的資源」です。科学技術の発展にともない飛行機の性能が高度に向上した昨今、航空事故の原因の約7割が「ヒューマン・エラー」によるものだからです。人的資源を有効活用できずヒューマン・パフォーマンスが効果的に発揮されなかったのです。

悪質な人間関係、効果的ではないマネジメント、クルーのリーダーシップ能力の不足、意思決定能力の不足…。そういった人的要因が結果として大規模な航空事故の起因となっているのです。

これは宇宙航空研究開発機構のJAXAがJALやANAと共に開発したCRMです。

 

JAXAのCRMスキルは下記の5つのクラスタに分類され、各クラスタが複数のスキルで構成されています。

■コミュニケーション
■意思決定
■チームビルディング
■ワークロードマネジメント
■状況認識

CRMにおいて「人的資源」は重要な資源であり、上記の5つのクラスタもそれを活用した技術です。人的資源を最大活用するために、人間のパフォーマンスやパフォーマンスに影響を与える要素などを考え安全性の向上に活用しようとする「ヒューマン・ファクターズ / Human Factors」という学問・技術があり、これがCRMのベースになっています。

ヒューマン・ファクターズに関しては少々難しいですが、JAXAのwebサイトに基礎知識を解説したハンドブックが掲載されています。

このCRMスキルは、機長や副操縦士や客室責任者のような機内の立場的リーダーの方には特に求められるスキルです。そして5つのクラスタの中でも特に重要なのが、やはり「コミュニケーション」だと思います。

コミュニケーションに分類されるスキルは「情報伝達・共有」「ブリーフィング」「アサーション」です。これらの能力不足によって乗務員同士の人間関係の質が悪化することは、安全運航に大きな影響を及ぼす重大な「脅威」になります。

機内の立場的リーダーは、安全運航のためにもコミュニケーション能力の開発は不可欠です。クルー同士の人間関係の質が悪い状態では、他の4つのクラスタは効果的に機能しません。

緊急事態の対応も、通常運航時の保安業務も、お客様の心を満たすサービスも、リーダー1人ではできません。すべてクルー全員が力を合わせて実現させるものです。

CRMを正しく機能させ安全運航を達成するためにも、立場的リーダーにある人は、チームメンバーと良質な人間関係を創るコミュニケーション能力が不可欠なのだと思います。

1 個のコメント

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です