なぜ飛行機は悪天候なのに着陸できるの?「空のレール」の正体


空港で着陸してくる飛行機を見ていると不思議に思うことがあります。機種によって大きさも性能もまったく違うのに、どの飛行機も同じコースを辿って滑走路に降りてくるんです。それも、どんなに天気が悪い時でも。まるで空に「見えないレール」の上を走るように綺麗に降りてくるのですが、これはどういう仕組みなんでしょう?

少し話をそらして2015年4月に広島空港で発生したアシアナ航空162便着陸失敗事故。当時ニュースでも頻繁に報道されていましたが、その事故のキーポイントの1つが「計器着陸装置」という施設でした。下記の図のとおり、広島空港は滑走路一本で運用されており、事故当時はこの滑走路に「東側から進入して着陸する」という方式が採られていました。

この広島空港は西側(Rwy10)には国内最高精度の計器着陸装置が設置されていたのですが、東側(Rwy28)には設置されていません。そのため、Rwy28への進入方式は航空機に搭載されているGPSなどを利用した少々特殊なものになっており、事故機のパイロットがこの進入方式でのアプローチ中に判断に誤った事が事故原因の1つとされています。

実は、この「計器着陸装置」というのが、空に引かれている「見えないレール」の正体なんです!

計器着陸装置(Instrument Landing System / ILS)」とは、滑走路から指向性の誘導電波を照射して航空機に適切な着陸進入コースを指示し、滑走路の近くまで誘導する無線着陸援助装置です。国土交通省のwebサイトに詳しい記載があります(^^)

ILSは「3種類の電波」によって構成されています。まずILSが設置されている滑走路では、
進入角度を知らせる「グライドスロープ」
進入方向を知らせる「ローカライザー」
という、2つの電波が進入コースに向けて照射されています。この2つの電波は下の図のように十文字の形で照射されており、十文字が交わるポイントと滑走路を結ぶラインが、適切な着陸進入コースとなります。さらに、そのライン上には「マーカー・ビーコン」という無線標識が設置されていて、航空機がこの電波を受信することで滑走路までの距離を知る事ができます。

これら3つの電波を受信するとコックピットの計器に表示されます。パイロットは計器の指示に従って機体を操縦しながら滑走路に接近していくワケです。まさに「計器着陸」ですね(^^) このようにILSを利用した「ILSアプローチ」という進入方式は世界中で幅広く使われています。

ILSアプローチの利点は、天気が悪くて視界が悪い状態でも適切な進入コースで滑走路まで近づいていけることです。雨などで視界が一切きかない状態であっても、グライドスロープとローカライザーの電波をトレースし、マーカー・ビーコンで距離を確認していくことで安全に滑走路に接近できます。

ILSが作る「電波のレール」を辿ってくるから、どの飛行機も綺麗に滑走路に降りてくるんですね!

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