飛行機の「機内の空気」はどこから来るの?


登山家が「デスゾーン」と呼ぶ領域があります。酸素濃度が低すぎて人間が生存できない標高8000m以上の領域を指し、そこでは人間は高度順応が出来ず、長期間滞在すると血中の酸素量の低下によって身体機能や意識の低下が起こり、最終的には死に至ると言われています。

飛行機はそのさらに上の高度10000m、高い時では12500mの高度を飛んでいます。気圧はわずか0.2気圧しかなく、酸素濃度も20%以下。そんな環境を飛ぶ飛行機の中で、なぜ人は普通に呼吸ができ、温かいコーヒーを楽しみながら映画が観れるのでしょう?機内の人間が生存するうえで不可欠な「機内の空気」はどこで作られているのでしょうか。

現代の一般的な旅客機の場合、機内に流れる空気の”元”はジェットエンジンの中で作られています。

まずエンジンに流入した空気は、エンジン内のコンプレッサーによって圧縮され「圧縮空気」となります。この圧縮空気は燃焼されることで推進力となるのですが、燃焼される前のクリーンな圧縮空気の一部が「抽出空気(ブリード・エア)」として飛行機の胴体内へと導かれます。このブリード・エアが機内で吸える空気の”元”です。

空気には「圧縮されると温度が上がり、膨張すると温度が下がる」という性質があり、コンプレッサーによって圧縮されているブリード・エアは約2気圧、温度850℃と非常に高圧・高温になっています。このまま機内へは流せませんので、エア・コンディショニング・システムによって流量・温度・湿度などが調整されます。こうして十分に調整された空気が客室へと流入されているのです。

ただ、このまま流入させるだけでは飛行機が風船のように破裂してしまいます。そのため機内の一部の空気は「圧力調整弁(アウトフロー・バルブ)」を通じて外へと排出されます。この排出量を調整することで、機内の空気の量(気圧)をコントロールしているワケです!

このシステムによって機内の気圧は0.8気圧(標高2000m程度)に保たれ、温度は24℃、湿度は10~25%程度に固定されています。上空10000mという極限の環境の中で普通に呼吸ができるのは、こうして飛行機が生命維持をサポートしてくれているからなのです!

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