飛行機でよく見る「謎の装置」の正体


乗客として飛行機に乗っている時、目にする機会が多い割にイマイチ仕組みが知られていない装置の代表格の1つが「フラップ」ではないかと思います。

このフラップが活躍するのは主に着陸時です。あと15分ほどで着陸するという時、クーッという油圧ポンプの作動音と共に、写真のように主翼の後ろ側が徐々にせり出してくるのを見た事はありませんか?そのせり出してきた装置がフラップです!飛行機が安全に離着陸するために、なくてはならない大事な装置なのです。

フラップは様々な種類がありますが、総称して「高揚力装置 / high-lift device」といいます。飛行機は主翼に発生する「揚力」という力で飛んでいるのですが、この揚力の強さは機体の速度に比例しています。ザックリ言うと、飛行速度が速くなるほど揚力は増加し、逆に飛行速度が遅くなるほど揚力は減少します。飛行機には「速度が増すほど安定する」という性質があるのです。

「飛行速度が遅くなるほど揚力は減少する」と書きましたが、まさに着陸時がこの状態ですよね。着陸進入中は徐々に速度を落としながら降下していきますので、着陸が近づくにつれて揚力が減っていき、機体が不安定になってきます。

例えばここで、揚力を得るために速度を出したまま着陸すると、滑走路内に止まり切れずにオーバーランする危険があります。かといって速度を落としすぎると、今度は揚力が減りすぎて機体を持ち上げることができなくなり、重力に負けて機体が落下してしまいます。2013年にサンフランシスコで着陸失敗事故を起こしたアシアナ航空機がこれに近い状態になっていました。

「安全に着陸し、滑走路内で停止するため、低速状態でも十分な揚力を確保したい」
そんな時こそフラップの出番です!

「高揚力装置」という名前のとおり、フラップには「主翼に発生する揚力を増幅させる」機能があります。フラップを徐々に下ろしていくと、下の図のように主翼の湾曲や面積が増大して「より揚力が得られる形状」へと変形していきます。そうすることで滑走路内で確実に停止できる速度まで減速しても、しっかりと飛行機を飛ばしておくことができるのです!

離陸時にも、なるべく早く安全に離陸するためにフラップを使っています。離陸して十分速度と揚力を得られたら必要がなくなったフラップは主翼に収納し、着陸時に必要になった時にまた下ろす、という使い方をしています。

このフラップが始めて本格採用された旅客機は、ボーイング747と同じく民間航空輸送に多大な影響を与えた伝説の名機DC-3です。それまでの飛行機に比べて胴体が大きく飛行速度が速かったDC-3を、それまでの飛行機に合わせて作られていた短い滑走路で安全に離着陸させるため、揚力を増幅させるフラップが採用されました。その結果、DC-3はそれまでの飛行機よりも短い距離で離着陸できる性能を実現したのでした。

謎の装置の正体「フラップ」は飛行機が減速して「飛ぶ力」が弱くなった時に、その力を増幅してくれる装置なのです!

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